此処までおいで下さって有り難う御座います。
なんでこのページがこんなに暗いかというと、暗〜い時代の話だからです。
いくつかの短歌と、詩を紹介します。詩の方は曲が付いているものもあります。
基本的に曲にするための「歌詞」として考えて下さい。
書いたのはねこの友達(?)。
その頃はちょっと嫌な奴だったけど、今は大好きな奴です。
名前は装流(そうる)当時十代後半
の女の子。

装(よそおう)と流(さまよう)と言う名の女
お前はそれで悲しくないか



装(よそおう)
夜が過ぎ 陽が目覚めたら 鴎の飛び交う海で君を待とう
巡り来る陽のように 寄せ来る波のように いつまでもいつまでも君を待とう
私 今度髪を切ろうと思います
新しいコートのため? 新しいドレスのため? 恋に別れを告げるために
水の枯れた噴水みたいに 色あせたドライフラワーみたいに
ひとりぼっちは悲しすぎる
君を愛し 君をいだく 何故君は泣く? 僕の胸へおいで
さめてしまった恋は 空しい想い出
壊れてしまった恋は 楽しい想い出
この胸の風穴は この身体の冷たさは 愛の抜け殻
明日 枯れ葉とともに 燃やしてしまおう
あの遠い空の彼方 あの遠い海の向こうに 君は消えた
僕一人を残して


流(さまよう)
旅に出たいと思っています 一人で汽車に乗るのも良いし
誰かと二人で朝の船に乗るのも素敵です
今は何故秋なのでしょうか?
私の心は春風のようにふわふわと海をさまよっているのに
私は何故こんな家でじっとしているのでしょうか
こんなに心は遠くへ旅立っているのに
今 このままどこかへ行ってしまったら 私はどうなるのでしょうか
いつだったか友達が風になりたいと言っていました
その時私は海になりたいと思っていました
でも 今は彼女の気持が判るような気がします
出来るなら 私も風になりたい
自由に空を駆けめぐる風になってしまいたい
唄を忘れた小鳥は 一人空をさまようだけ
恋を忘れた私も 空をさまようしかないのです
でも 一人旅は淋しすぎます 誰か隣で笑っていて欲しいのです
出来ればはなむけに あなたの愛を少し分けて下さい
いつの日か私が戻る日に 私の愛をお土産に持って帰るために
旅に出たいと思っています



名前にちなんだ三編で、だいたいこんな感じの女の子だって判って貰えましたか?
ちょっと・・・いやぁ無茶苦茶嫌な奴だったんだ!
この後は春一がらみのを。

五月の春

あの暖かいお陽様は 春の街の守り神 あの大きな木の中に春の風が吹いている
君は緑のドレス着て 風を運んでやって来た 冷たい五月のこの街に
子猫を抱いた妖精は 風に乗ってやってきた 淋しい五月のこの街に
あの暖かいお陽様は 春の街の守り神 あの大きな木の中に春の風が吹いている
僕は叫んでみたい 愛しているよ 愛しているよって 五月の風よこの街に
優しい五月の風は 緑のドレスに花模様 君の笑顔が唄うんだ


カァニバル(春一番)の道化者
沢山の風来坊が カァニバルにやってくる ふらふらとさまよいながらやってくる
酒 煙草 マリファナ 女 カァニバルの道化者
風に誘われ若さに引かれ カァニバルにやってくる 緑浅い天王寺
酒 煙草 マリファナ 男 カァニバルの道化者
長い髪の男達 長いスカートの女達 年に一度のカァニバル
優しさに飢えた若者達は愛を求めてやってくる
誰も知らない 夢を求めて 誰もが知ってる唄を聴く



この先は暗いのが好きな人だけ読んでね。
むかついて腹が立っても、落ち込んでも、ねこは責任取りません(悪しからず)

影夢(エイム)
街の片隅の小さな路地で 君と出会ったのは二年前
君は黒い子猫を抱いて 淋しい子守歌唄ってた
君が心を開くには 時は幾らもいらなかった
大きな大きな緑の船で 君は誰かが来るのを待っていた
大きな目をした王子様 夢で知ったメリィゴーランド
君はまだ何も知らずに 夢の中で生きていた
でも 君が女になるのに たいして時はいらなかった
そして今 君は独りぼっちで 黒い子猫を抱いている
大きな緑の船と 五頭立てのメリィゴーランド
大きな目をした王子様も 今はもう忘れた



外易無(ゲイム)

耳元でそっとささやこうか 君のすべてが欲しいって
お前はそんな俺についてくるだろう 愛に飢えた女独り だますなんてお手のものさ
指先をじっと見つめて ため息でもついてみようか
お前はそんな俺を可愛いと言うだろう 優しさに飢えた女独り だますなんて簡単さ
目の前で他の女と寝てみようか 何も言わずに悲しい目をしようか
お前はそんな俺を追ってくるだろう 悲しみに溺れた女独り
不幸にするなんて朝飯前さ


あの海買って
どうして独りで逝くなんて言うんだい どうして忘れてしまえなんて言うんだい
二人の想い出の あの坂買ってくれるかい あの海買ってくれるかいあの街買ってくれるかい
何も 何もいらないんだよ お前が傍にいてくれたら
二人の好きな 紫陽花一輪で良い アールグレィ一杯で良い 煙草一本で良いんだ
どうして独りで逝くなんて言うんだい どうして連れていってくれないんだい
連れていってくれるなら もう泣かないよ もう我侭言わないよ 辛いなんて言わないよ
どうして幸せになれなんて言うんだい お前が幸せにしてくれるんじゃ無かったのかい
二人の愛が 唄えないんだ お前が居なければ 唄えもしないんだ
どうして独りで逝くなんて言うんだい どうして忘れてしまえなんて言うんだい
二人の想い出の あの坂残してくれるかい あの海残してくれるかい あの時残してくれるかい



次は海繋がりで港街

港街哀歌T
お前は泣いていたっけな 誰もが消えた 街の中で
灰色に曇った空を見上げて 何も見えないって泣いていた
あの街へは今も時々行く 華やかさが音を立てて壊れ
空はやっぱり灰色に濁っている お前独り 取り残してしまったのか
追われるように走り去る時は なぜ後ろを振り向かないのか
妹のようなお前の泣き顔 泣くことしか誰も教えてくれなかったのか
遠くを見ようと丘に登る なのに何故お前独り見えないのか
お前は泣いていたっけな 星も見えないって泣いていた



港街哀歌U
お前は泣いていたっけな 何も見えないって泣いていた
俺の声は闇を貫き お前の命を食い漁った
お前は涙の上に 微笑み重ね 俺の髪に優しく触れ
俺に唄えとつぶやき 俺に命を分け与えた
お前は俺に優しく重なる 俺はお前が悲しいと思った
だからお前は泣くのだと思った 俺は間違っていた
お前は泣いていたっけな 闇も見えないって泣いていた
そんなお前に俺は 何もしてやれなかった
そんなお前に俺は 何をしてやることも出来なかった


なんでこんなに泣いてばかりいるんだろう?
本当は泣きたいのに泣けなかったからかも知れないね。

男と女の哀れ唄
男と女の行き着く場所は 時の流れの 川の畔 涙の行き着く 海辺の丘
だまし合い 傷つけ合う 終わった悲しみ引っぱり出して 一夜二人で酒に泣く
男と女の夢見たものは 小さな幸せ 暖かい部屋 寒い心 暖め合う
信じ合う さめた心あざ笑い 一夜二人で酒に泣く
男と女の別れた後に 何も残ったものはない 何を見つけることもない
男は嘆き 女は泣く 空しさばかり引きずり回し 二夜独りで恋に泣く


涙の河に
星の集まる 涙の河に 想い出みんな流したら
みんなきっと知るだろう 愛の優しさを
時が見える山へ 一人っきりで登ったら
君はきっと知るだろう 涙の優しさを
愛という魚の泳ぐ海へ 漁に出たら
人は皆きっと見るだろう 生きていることの悲しみを



装流にしてはちょっと元気な詩達

早く帰ろう

枕を抱いて眠るには 君は遠すぎる 早く帰ろう 君の元へ
君の肩に手をやって そっと引き寄せ 君の唇は水仙の香り
初めての君は 夢見るような目をして 僕の肩に すべてを委ねた
僕は思った 君を抱きしめながら 君の髪に手をやって 誰にも渡さない
枕を抱いて眠るには君は遠すぎる 早く帰ろう 君の元へ
野良犬だけの夜の中で 君と僕だけの闇の中
君の背中は 思ったより小さくて 強く抱いたら壊れてしまいそう
もう 街は 本当の夜に包まれ しばしの闇を楽しんでいる頃
君と僕は いつか離れていった ああ 僕達の愛は 今も
枕を抱いて眠るには 君は遠すぎる 早く帰ろう 君の元へ
早く 早く 早く帰ろう 君の元へ


夢街の風来坊
空っぽの頭と 重すぎる足 中途半端に詰まった心と 穴のあいた靴
何処まで 何処まで行くのだろう 夢街の風来坊
泣けない顔で へらへら笑う 泣きたい時に泣けない顔 笑いたい時なんて無い
何を探しに行くのだろう 夢街の風来坊
悲しみなんて 忘れたし 苦しさなんかもう知らない 空っぽの鞄ぶら下げて
なんのために行くのだろう 夢街の風来坊
 空っぽの頭と 重すぎる足 中途半端に詰まった心と 穴のあいた靴
何処まで 何処まで行くのだろう 夢街の風来坊


朝の光に
やがてやってくるだろう 朝の光が 窓を突き抜け
二人愛した時は流れて 差し込む光に身を映し出す
ただ 渦巻く煙の中に 独り目を覚まし続け
溜息の中に身を沈め 想い出をむさぼる
なんのために なんのために生きているのか 誰のために 誰のために唄うのか
何も判らず 誰も知らぬ 独りの中に身を沈める
いつかやってくる愛に 胸を弾ませ
独り窓辺に 身を寄せて 空の青さに 涙する



やっぱり明るくは無かったねぇ。まぁちょっと軽めだった感じかな?
まだまだ有るんだけど、最後にいくつかの短歌を。
詩を書くときのエッセンスになっていた言葉達です。

(人生 サーカス)
夢わずか 愛少しだけ 手に持って 回れよ回れ 人生(サーカス)ピエロ
カルウセル 回れよ回れ 夢の中 子供は笑う あの時のまま
笑ってよ ねぇ笑ってよ 泣かないで 独り唄うのは もうやめておくれ
何故泣くの 僕がいるのに 見えないの 昨日の中に 置き忘れたの
青は何 きらきら輝く 金色は何 思いだしなよ 君のあの海
帰ろうよ 峠を越えて 二人して 道化に疲れた 泣き虫ピエロ
あの街へ 行くのはやめた この夜は 化粧を落とした 君と過ごそう
人生(サーカス)の 幕を下ろした その後に 何が残ったの みんな夢ゆめ
夢わずか 愛少しだけ 手に持って 回れよ回れ 人生(サーカス)ピエロ


(風来坊)
街灯に ほのかに輝く 紫陽花を 静かにぬらす 六月の雨
風街で 夢追う街で この街で 何故唄うのか 風来坊
風来坊 悲しからずや 風来坊 お前独り さまようなかれ
空しいと 思うことなく さまよえば 人皆悲し 風来坊よ
砂白く 木枯らし去った 深緑 何が見ゆるか その向こうには
風来坊 独りで行くのか 風来坊 吾独り残し 行ってしまうか
月に抱かれ 星のささやき 聴きながら カバン枕に 眠ろうか
路地裏の 小さなお寺の 石段で 朝を迎えて 赤く染まるか
菜の花の 畑に埋まり 咽ぶのは 春知る恋の 前触れなのか
夕焼けの 想い出坂を眺むれば いつかの君の 笑顔想わゆ
海になる 風を抱き込む 海になる 風来坊の 行き着く海に


(愛・恋)
笑い顔 ほんとは悲しい 笑い顔 いつになったら 泣く日来るのか
過ぎた夢 遠い昔の 空の色 行くあてのない 夜汽車の汽笛
愛遠く 忘れたはずの 想い出が 断りもなく 蘇り来る
優しさの その裏側に 潜むもの 愛の優しさ 辛い諦め
朝を待つ 遠い汽笛を 聴きながら 揺れる心の 飛び立つために
枯れ葉舞う 秋の陽射しに たたずめば 過ぎた想い出 あの海の中
闇の中 見えるはずない 星を見る 時の流れに 身を横たえて
サァカスにピエロがいたように 私の心に悪魔が潜む
初雪の 落つるごとくに 人恋し 雪溶くるごと 恋醒め行かん
波音に 慰められて 独り泣く 波にかわれる 君はいずこに


(旅)
息の詰む 雲に追われて 歩くとき 独りどこかへ 行ってしまおう
直角な 夜汽車の座席に 寄りかかり ただぼんやりと 空(くう)を見つめる
車窓より 眺めし海は ただ広く 白波ばかり 目に映るなり
八月の 夜の空気が 何となく 今夜だけは 何故か冷たい
気がつくと 空の向こうに あかみ差し やがて鴎も 目覚めるだろう
夜一人 最終列車に 乗り込んで 我進む道 拾いに行こうか


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